この作品「心景(しんけい)」は、具体的なかたちを描かずに、色彩の重なりや筆の動きによって、鑑賞する人それぞれの記憶や感情を呼び起こす力を持っています。 明るい緑や青は空や木々を思わせ、あたたかみのあるピンクや黄色は、どこか懐かしい夕暮れの風景を感じさせてくれます。構図は抽象的でありながら、ふとした瞬間に「見たことがあるような景色」が心の中に浮かんでくるようです。 作者が描いたのは、実在する風景ではなく、心の奥深くにある“原風景”です。それは人によって異なりながらも、誰の中にも存在する「大切な場所」なのかもしれません。 この作品は、見る人自身の記憶や想像力と重なり合いながら、内に秘めた無限の可能性を静かに語りかけてくれます。「心景」というタイトルが示すように、ここにあるのは、世界にひとつだけの“心の風景”です。
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