北海道にも、ようやく遅い春が訪れました。長く続いた白と灰色の季節がほどけていくように、公園の木々や草花には、少しずつ色彩が戻り始めています。まだ芯に冷たさを残した空気の中で、草花はそれぞれのかたちで芽吹き、小さな花びらが思い思いのトーンを広げています。控えめに揺れる淡い色もあれば、冬の沈黙を破るように鮮やかに主張するものもある。どれひとつとして同じではなく、それぞれが異なるリズムで春を刻んでいるようです。そのあまりに急激な多様さに触れると、脳内が少しだけ騒がしくなります。 一気に流れ込んでくる色、形、光、そしてコントラストの強い影。それは心地よい風景であると同時に、過剰な情報が感覚を逆撫でするノイズのようでもあり、僕の脳内をざわざわと落ち着かなくさせます。それでも、その不協和音は不思議と嫌ではありません。むしろこの視覚的なざわめきは、冬の間、凍土の下で静まり返っていた五感が、強引に叩き起こされていく合図のようにも思えます。 戸惑いと、不規則なノイズ。その渦中で、胸の奥は確かに何かが弾んでいます。ワクワクともドキドキともつかない感情を抱えたまま、公園をゆっくり散歩しました。春はいつも、このように少しの不安定さを孕みながら、暴力的なまでの鮮やかさで新しい季節を運んできます。色づき始めた景色の輪郭と、そこに混じる心地よい雑音を、そのまま丸ごと受け取っていきたいと思います。
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