昔、タツノオトシゴを飼っていました。たくさんの子どもたちを生み出す姿を見て、感動しました。実は、タツノオトシゴはメスではなくオスが出産するそうです。この事実に驚くとともに、私はタツノオトシゴを「無限の可能性」を持った生物だと捉えました。 また、そのタツノオトシゴから生み出された個性豊かな子どもたちを、「無限の才能」を秘めた生物だと捉えました。(ここでいう『生物』を、ヒトと重ね合わせながら描きました。) 背景の白い海中のゆらめきは、ヒトの人生を表しています。ヒトの人生は、山あり、谷ありです。一番下の、緩やかなうねりの線とその上に描いた細かくうねっている線は、自身の人生を表現したものです。緩やかな線は、障がいを持つことになる前の、私の歩む予定だった人生です。しかし、ある日突然、過労や環境、私の生まれ持った気質等さまざまな理由により、反復性うつ病になってしまいました。私の反復性うつ病の症状は、この激しい山と谷のように、軽躁状態と激しいうつ状態が短い間隔でやってくるものです。おくすりは、一生のお付き合いになります。この絵を描けたのは、山の途中の辺りです。 谷底のように、何も希望が見いだせないときもあります。そうかと思えば、山に登っていくときのように、動きやすくなる日もあります。 誰もが、どんな状況においても無限の才能を秘めている。ヒトは、そんな無限の可能性を持っている。この絵をご覧いただいた方に、そんな前向きな思いを感じてほしいと強く願い、描いた絵です。