幼い頃から、聖母マリアさまがヘビさんを足で踏みつけているのに違和感があった。ヘビさんはアダムとイブをそそのかす悪者として刷り込まれたが、私は心のどこかでヘビさんを信じていた。そんな私がすっかり大人になり、忘れていた自然との繋がりを取り戻したある日、外での仕事中にヘビさんが現れた。何かを訴えかけてくるその目を見て、私は幼い頃の気持ちを思い出し、「みんないいこ」(過去絵 参照)を描いた。その出会いから数カ月、散歩中に立ち寄った自然豊かな公園でそれは起こった。私が来るのを待っていたかのように、1匹のヘビさんが顔を上げたまま、舌も出さず、じっとこちらを見ていた。私が近づき、目の前にしゃがんでも、動かない。見つめ合っていると、ふいに「みんないいこ」の絵のイメージが飛んできて、感謝の念がエネルギーとして伝わってきた。全ヘビさんの意識の集合体として現れたらしかった。5分くらい見つめ合っていた。感謝と別れを告げて歩き出し、すぐに振り返ると、微動だにしなかったヘビさんは、舌をペロペロしながら草むらの中に消えていった。そのときの感動を描いたのが、この「物質世界を超えた対話」である。散歩中はスマホを持たないことにしているので、残念ながら対話をしたヘビさんの写真は撮れなかった。そういうときほど感動的な瞬間に遭遇するのは、偶然ではないのだということが、体験からわかってきた。