愛徳

よく言えば順風満帆、ひたすら普通だった私の人生は、 大学3年生のとき、突然ドラマティックな方を向いた。
指定難病クローン病に罹患した私は、 手に余る敵との闘いでやがて戦意を喪失し、 普通に働くことを諦めた。
母の病、死をきっかけにして、 小説家として成功の足がかりをつかむも、うつ病、 強迫性障害とたたみかける精神疾患に心まで侵され、 難病には大腸のほとんどを奪われ、 唯一の希望だった文筆活動も断念する。
20年近くの歳月を引きこもり同然のまま過ごし、 暗闇の中でどうすることもできずにいたとき、偶然、 絵の世界と出会った。
障がい者アートは私に生きる目的をくれ、 2017年の夏の終わりから、思うままにがむしゃらに、 絵を描き始めた。
決して明るくはなかった、自分の中の様々な感情が絵となって、 いくつもの出会いをもたらしてくれた。
社会との繋がりを得、ようやく自立を果たした私は、 たくさんの人と出会いに感謝しながら、 毎日汗を流して働いてきた。
私は変わった。
奇しくもこの数年、世界も大きな変化の時代を迎えている。
そんな中で私は、自分がいまここにいる意味を考えている。
私は戦争をとめることはできない。
だけど、 暗いニュースに心を痛めるやさしい人たちを元気づけることはでき る。
心が弱りがちな時代に、どん底を経験した私だから、 明るさを広げていくことができる。
いま私の絵はそのためのひとつの手段にすぎないけれど、 重要なツールだと思っている。
長く中断していた人生を再開し、軌道に乗せた。
もうつまらない人生にするつもりはない。
自分のことを幸せにできたいまの私なら、 人を幸せにすることができるはずだ。
名前
愛徳
生年
1975/09
住まい
長崎県
障がいの種別
クローン病、うつ病、強迫性障害、パニック障害
Instagram ID
受賞歴