写真に刻まれた日付は、必ずしも「その時」撮影された証ではない。カメラの設定ひとつで、意図的に別の日付を焼きつけることも可能だ。近年はAI技術の進化によって、現実の被写体を写し取った“本物の写真”と、AIが作り出したビジュアルとを見分けることが、かつてないほど難しくなっている。では、「本当の写真」とは何だろう。 撮影者の眼差し、意図、偶然と操作。その一瞬を記録したという“事実”だけが写真の本物性なのか。それとも、見る人が受け取る「現実感」や心に残る像こそが本質なのか。写真はかつて「真実を写すもの」と信じられてきた。しかし、技術も表現も進化した現代――写真そのものが「何をもって本物とするのか?」を問い直す表現になりつつある。今、この時代において「本当の写真」とは、装置や技術の境界を越えて、私たちが「本物」だと信じ、感じるその瞬間にこそ、宿るのかもしれない。
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