作品
 
作品のタイトル

毒燃ゆる

作品のタイトル(ふりがな)
どくもゆる
作者
作者(ふりがな)
制作時期
2024年4月
作品種別
アナログ作品
使用画材
【画材】ボールペン,【画材】パステル,【画材】アクリル絵具
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作品画像解像度
タグ
非現実,自然,太古,赤,黄色,植物,風景,明るい,どきどき
作品の商用利用
 

「赤い花…なんと気持ち悪い」或る国の大臣が、政庁の庭に咲く赤い花に吐き捨てた。そして宮廷お抱えの呪術師に縋る。「目堂院、一族を『赤の神(アカサカシカミ)』から遠ざけるにはどうしたら…」赤の神。災いをもたらす邪神として貴族の間で恐れられていた。目堂院と呼ばれる呪術師は言う。「しかし、赤の神は元来力を司る…」「力は下々に任せれば良い!今は息子と皇族の姫君との大事な縁談がある。今すぐにでも孫の顔が見たいのじゃ。私も長患いの身ゆえいつ命尽きるか分からぬ。何卒!」「…承知致しました」目堂院は目を閉じ、精神を統一しつつ詠唱する。✺◈▼サダナヲフ カナタビトへ▲◈✺突如庭の赤い花が一人でに燃え、たちまち灰となった。「あやや…」「赤の神を別の場所に行かせる呪文で御座います。この花は毒があります故、燃える事で災いが取り除かれたと言えましょう」「助かった。これで一族は安泰じゃ」 しかしその望みは叶わなかった。翌日「大臣が3件の暗殺事件を企てた」として朝廷から火炙りの刑が言い渡されたという。密告したのはなんと息子だった。息子は処刑場で大臣に詰め寄る。「よくも『実の』両親をあやめてくれたな。帝の右腕までにも手をかけおって…」「目堂院!何故呪文が効かぬか」縛られた大臣の叫びに目堂院は答えた。「むしろ何故災いを他人に投げつけるのです。災いと縁を切りたいと願ったのは貴方でしょうに。おや…」目堂院は或ることに気づく。「貴方は恐らく、火炙りにならずとも孫の顔を見る前に亡くなっていたでしょう」「何?」「長患いの病、確か内臓の不調。内臓に出来る瘤と言いましょうか…腹部に、いや心の臓も含む全身に球根の気配を感じます。赤い花の…」「何だと!」「今まで呪文で避けてきた『怨念』が貴方の…」「そんな…」意気消沈した大臣の足元の藁に火が灯される。その炎は赤い花の如く燃え盛る。息子は述べた。「赤は美しい。やはり赤の神を信じてよかった…」後に息子は帝の側近となった。/画用紙を炙ったものに彼岸花を描きました。赤から連想させるイメージは災いとも力とも取れるところから、灰塵と散るという災いと煌々と咲く花の対比を表現しております。

アーティストプロフィール

目堂雅(めどう みやび)(1999)

東京都
パステル・デジタル・ミクストメディアを以て「この世に異世界の神や事象、教えを召喚する」現代のシャーマンで御座います。