飛んでいるような気分になれるくらいに、ありったけの力で地面を蹴って、駆け回っていました。どんな遠いところまでも、凸凹道につまずいたって、壁のような坂道には「なにくそ」と果敢に立ち向かいました。気が付けばずっと遠くの景色、自分のいたところがちっぽけに見える高い坂の上まで来ていて、じっと時間を忘れ夕陽の落ちるのを眺めてから、今度は一気に駆け降ります。恐ろしいくらいのスピードで、止まれなくなったって構わずに、羽ばたくように軽やかに飛び降りていきました。もうどれだけあの爽快な気分を忘れているだろうと思います。山は見るもので走るものではなくなってしまった。もう一度走りたいです。飛ぶように、ありったけの力で、鳥のように。